御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

フォワードストローク③

今回はフォームや手の動かし方などの留意点を説明します。

①フォワードストロークのフォーム

まずはフォワードストロークの構え。これから漕ぐぞというパドルを入水する直前の構えです。

(1)漕ぎ手の方の肩を前に出して上半身を大きく捻る

(2)漕ぐ方の手は前方に伸ばす

但し、100%伸ばし切ると力が入らないので、ほんの少しだけ肘を曲げたポジションから漕ぎ始めます。

(3)反対の手は頭の横(耳の少し上)ぐらいで肘は上げる

(4)漕ぐ方の手は手首を真直ぐ伸ばして小指までしっかり握る

どちらかというと人差し指には力を入れません。

(5)上手も手首が上下どちらにも反らないで真直ぐにする

手首を手前に曲げると、前腕に力が入ってしまい、すぐに腕に乳酸が溜まってしまいます。

(6)ブレードの面を引く方向に対して直角にして漕ぐ

右パドルの握りは固定なので、最初に正しい位置を握ります。左を漕ぐ時は、右の手首の返しを調整して左パドルのブレードの面を調整します。

(7)なるべく骨盤を立てて身体を垂直もしくは多少前傾する

速く漕ぐ時は前方の水からしっかり掴みたいので、前傾度合を大きくします。

(8)両足は膝の内側でカヤックを軽く支える

②漕ぎ手の動作について

次に漕ぐ時の留意点を説明します。

漕ぎ手の動作は4挙動あります。

(1)入水

極力水飛沫を上げないように丁寧にブレードを全部水の中に入れます。

(2)キャッチ

ブレードの面で水を掴みます。掴んだ水を手前に引く力の反作用でカヤックは前に進みます。

水をしっかり掴まないと引く力のすべては反作用に反映されません。

(3)パワー

カヤックの側面すぐ脇を漕ぎます。ブレードの首の部分が水面ギリギリを通過するように漕ぎます。

漕ぎ手は肘をたたむ動作を行い、腕は主に上腕三頭筋を使って漕ぎます。

また、パドルを引きながら肩甲骨を縮めることにより、肩回りの大きな筋肉で漕ぐことが出来ます。

(4)フィニッシュ

ブレードが身体の横まで来たら、脇へ引き上げるようにして水面から出します。

後ろまで漕ぐとカヤックに回転が付きやすくなります。

③体幹の動きと足の動き

(1)漕ぐ方の足先を踏ん張ることにより上体の捻りを加えやすくなる

(2)両膝の内側でカヤックを押さえつけて身体にカヤックをフィットさせる

漕ぎ手側の膝を少し持ち上げながらわき腹を縮めると、ローリングが起きづらくなります。

(3)上手は前方にパンチする

体幹が捻りづらい人は肩を前に出すことを意識すると大きく上体を捻れます。

(4)頭の位置は動かさないで体軸を中心に上半身を捻転させる

この力が漕ぎ手に伝えられると、パワフル且つ疲労しづらい漕ぎになります。

腰を捻ると一般に言われますが、実際に大きく捻れるのは腰椎ではなく胸椎です。

アスリートは肋骨回りの筋肉の伸び縮みもフォワードストロークのパワーに利用しています。

沢山のことを書いてしまいました。これを全て一度に意識して漕ぐことは出来ません。

ひとつずつ試してみて、これはいいなっていうものを取り入れて、自分なりの合理的な漕ぎを身に付ければよいと思います。

一度スピードに乗った後に抵抗の少ない綺麗な漕ぎをすれば、惰性により物理的にはほとんど力を入れなくても同じスピードで動き続けます。

あとは繰り返し練習するのみです。

たまには静水で基礎練習をしてみてはいかがですか。

言葉で全てを理解することは難しいですね。

フェリーグライドでは漕ぎ方の基本動作から丁寧にアドバイスしてコツをお伝えしています。

フェリーグライドのカヤック体験・スクール

カヤック体験は、初めての方でも安心湖での初心者向けカヤック体験です。

カヤックを「もっと上手に漕げるようになりたい」方にお勧めの、カヤックスクール
流れのある川を安全に漕げる様になるためのダウンリバーコース
スラローム技術を習得するための初級スラロームコースがあります。

カヤック技術編 』カテゴリの最新記事

番外編 体幹の捻りで漕ぐ(2)

今回はフォワードストロークを漕ぐ時の体幹の捻りについて説明します。体幹に捻りで漕ぐ(1)でも述べたように、フォワードストロークを漕ぐ時は漕...

番外編 体幹の捻りで漕ぐ(1)

「カヤックは手だけで漕ぐのではなく体幹の捻りを使って漕がなくちゃ」ってよく言われますね。体幹のありとあらゆる筋肉を駆使して漕げれば手の筋肉...

ダウンリバー⑩(岩を避ける)

本流の強い流れの真ん中に大きな岩があり、流れが岩に激突していることが多々あります。岩が水面下ギリギリの位置にある場合、気が付かずに漕ぎ進め...

ダウンリバー⑨(流れと流れの合流地点)

本流に支流の川が合流する場所や、岩によって一度分けられた流れが再び合流する場所はとても不安定なエリアが暫く続きます。強い流れ(本流)に対し...

ダウンリバー⑧(シュートの漕ぎ方)

今回はシュートの漕ぎ方について説明します。①シュートは何故出来る?川幅の広いところから急激に川幅が狭くなると左右から川の中心に向かう流れ...

ダウンリバー⑦(ストッパーの突破方法(2))

今回はストッパーを突破する漕ぎ方について説明します。但し、無駄な労力を使わずに安全に川下りするためには、避けるラインがあるのであればストッ...

ダウンリバー⑥(ストッパーの突破方法(1))

今回はストッパー(ホール)について説明します。フェリーグライドでは御嶽渓谷程度の川幅のある川をダウンリバーすることを前提としてカヤック技術...

ダウンリバー⑤(ウェーブの漕ぎ方)

ダウンリバー⑤(ウェーブの漕ぎ方)今回はウェーブ(立ち波)の突破方法について説明します。ウェーブと一概に言ってもその大きさや形状は様々な...