御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

パドル操作(ラダー)

カヤックをゆっくり方向転換するためのパドル操作です。

方向転換というよりも、ラダーパドルを入れた方に円を描いて進むイメージで捉えると分かりやすいでしょう。

①ラダーパドルで円運動する原理

キャッチパドルがブレードの面をカヤックの進行方向に対して概ね45度以上の角度にして大きな抵抗を作るのに対して、バウラダー(前方のラダー)は進行方向に対して、15度~20度ぐらい(イメージ)開いてパドルを水に差します。

パドル面に多少の抵抗は感じますが、いきなり大きな抵抗で減速しながら急激に回転するのではなく、パドルを刺した方向へ、ほぼ減速せずにゆっくりとガイドされて大きな円を描き始めます。

この時、パドルを差す方向に少しリーンすると、内側の側面にエッジが出来るので、カヤックがよりスムーズに円運動します。

②回転を止めて目指す方向に加速する

ラダーパドルを入れたまま暫く待ちます。

カヤックが行きたい方向に到達するすこし前のタイミングでリーンを解きながら手首を返してそのままフォワードストロークに切り替えます。

この時のフォワードストロークは回転を止める必要があるので普段よりの強いストロークで漕ぐことが可能です。

従って、カヤックは行きたい方向に勢いよく伸びるのです。

③ラダーパドルでカヤックを安定させる

なお、ラダーパドルのもう一つの利点は、水の抵抗をほんの少し感じることによりちょっと支えになるのでカヤックがとても安定することです。

回転もゆっくりで微調整もしやすいので慣れればとても使い勝手のよいパドル操作です。

④スターンラダー

カヤックの後方にパドルを差しても同じようにダラーが効きます。

スターン(艇の後方)にラダーを入れるので、スターンラダーと呼びます。

バランスを崩さないように前傾して両膝でしっかりカヤックを押さえながらスターン方向にパドルを差してみましょう。

しっかりと手を伸ばしてスィープストロークを漕いだ最後の姿勢です。

この位置にラダーを入れるとカヤックが曲り辛くなります。

スラローム競技でよく行うエディーダウンの際に使う技術です。

カヤックが左に少し回り始めたときに右スターンラダーを入れて回転を止める、なんていう時にも使える技術です。

覚えておくととても便利なパドル操作です。

ラダーパドルは流れとカヤックとの速度差がないと効かない

ラダーパドルは差すだけの動作(パドルを動かさない)ですので、静水でカヤックが動いていない時は全く反応しません。

ということは流れの中で、流れと同じスピードで動いている(流れの上を漂っている状態)時は全く効かないのです。

流れよりも速く進んでいる時に初めて効果のあるパドル操作なのです。

このカヤックと流れとの速度差は流れで漕ぐ時にとても重要な要素ですので、後日このブログで改めて説明をさせて頂きます。

なお、スラローム選手が使うパドルを胴体の脇から斜め前方に押し出すように伸ばすラダーパドルは、初級スラロームコースで紹介します。

より回転力が付くパドル操作で慣れれば使い勝手のよいパドル操作ですが初級者にはちょっと難しいです。

差すだけでもラダーパドルの効果は十分味わえますのでまずは前方に差すバウラダーパドルをマスターしたらよいと思います。

フェリーグライドのカヤック体験・スクール

カヤック体験は、初めての方でも安心湖での初心者向けカヤック体験です。

カヤックを「もっと上手に漕げるようになりたい」方にお勧めの、カヤックスクール
流れのある川を安全に漕げる様になるためのダウンリバーコース
スラローム技術を習得するための初級スラロームコースがあります。

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