御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

60代からのリバーカヤック ①カヤックの種類について

リバーカヤックには様々な種類があります。湖や緩やかな流れで漕ぐのに適したカヤックから急流を岩を避けながら漕ぐのに適したカヤック、スラローム競技に特化したスラローム艇や、ウェーブやストッパーでのムーブメントを楽しむフリースタイルカヤック、その他安定性に優れたパックラフトやダッキー。自分がどんなダウンリバーを楽しみたいか、まずは想像してみましょう。

カヤックと装備を最初に買った後に初めて漕ぐっていう人がまれにいますが、知識が不十分で購入したカヤックが、自分が本来やりたいパドリングに適していないと無駄になってしまいます。まずはある程度の知識と経験を積んでからマイカヤックの購入を検討したほうが良いでしょう。

細かく分ければきりがありませんが、リバーカヤックの種類を大まかに7つに分けてそれぞれのカヤックの特徴を説明しましょう。

①レクリエーショナルカヤック

➁フォールディングカヤック(ファルトボート)

③ホワイトウォーターカヤック

④フリースタイルカヤック

⑤スラローム艇

⑥パックラフト

⑦ダッキー(インフレータブルカヤック)

①レクリエーショナルカヤック

レクリエーショナルカヤックは横幅がある程度あり安定性があります。カヤックの前後が少し尖っていて水を切るように進むので直進安定性もあり、初心者でも簡単に漕ぐことが出来ます。反対に急な旋回は出来ませんので急流を岩を避けながら下るダウンリバーには不向きです。湖等に浮かべてのんびり漕ぐためのカヤックです。値段も比較的リーズナブルです。

➁フォールディングカヤック(ファルトボート)

フォールディングカヤックは組み立て式のカヤックです。アルミのパイプを組み立ててカヤックの形にして、丈夫な布で覆います。分解すれば担いで運べる大きさになるので、頑張って運べば電車やバスでの移動も可能です。幅も比較的あり前後も尖っているので、直進性、安定性に優れています。もちろん川でも漕げますが比較的川幅が広いゆったりとした川が得意なカヤックで、岩を避けながら細かく蛇行しなければいけないような川は苦手です。

若いころ野田知佑さんのことを雑誌や映像で見て憧れをもった人がイメージするカヤックは、このタイプのカヤックでしょう。比較的大きいので積載性もあり、川下りをしながらキャンプをするなんてことも可能です。ただ、分解すると小さくなると言っても重さは20kg以上あるので、60代のパドラーには担いで運ぶのは結構大変です。

③ホワイトウォーターカヤック

一言でいえば激流下り用のリバーカヤックです。急流を岩を避けながら蛇行して下れるように回転性に優れています。ホワイトウォーターカヤックにも細かく分ければいろいろな種類がありますが、オーソドックスな最近のホワイトウォーターカヤックを紹介します。

長さは2.5m程度、横幅はそこそこあって安定性があります。船底は平らなので回転性に優れています。カヤックの両脇が壁のように切り立っています。こんな単純な形のカヤックですが、長年の研究により進化しており、とんでもない激流でも自由自在に漕ぎ下ることが出来ます。

ポリエステル製で激流でも壊れないよう丈夫に出来ているので、重さは20kg前後あります。

④フリースタイルカヤック

激流の中のウェーブやストッパーでアクロバティックな動きをしながら波乗りをすることを前提に設計されたホワイトウォーターカヤックです。フリースタールカヤックは海外では人気のスポーツです。

縦の空中回転技を行うようになり艇が進化した結果、長さが1.7m程度ととてもコンパクトなカヤックです。短いのでその分軽く、ポリエステル製でも重さが11~12kg程度で軽いです。本格的にフリースタイルの競技をやらない人でもダウンリバーにフリースタイルカヤックを漕ぐ人が結構います。持ち運びのことを考えると軽さと大きさ(小さいこと)はとても大事ですね。

⑤スラローム艇

カヌースラローム競技はオリンピック種目にもなっているので、1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。急流に配置されたゲート(2本の棒)の間を当てないようにすり抜けて漕ぎながらタイムを競う競技です。スピード勝負の競技なのでスラローム艇はスピードが出て、且つ、ゲート間をジグザグに蛇行しながら漕ぐため、回転性もとても良く設計されています。スピードが出て且つリニアにクィックに回すためには軽さも必要なので、主にカーボンで出来ています。重さは9kg程度と、見た目の大きさの割にとても軽いです。(長さはおよそ3m50cm、幅は60cmです。)

幅が少し狭いので、安定性は大概のホワイトウォーターカヤックよりは劣ります。競技用のカヤックなのでコックピットが狭く、乗り降りする際にカヤックに足とお尻をねじり込んで入れる感じです。狭いコックピットのせいで足が痺れたり、転覆した際に脱出するのに少し手間取ったり漕ぎ慣れるまでは少し苦労するかもしれませんが、直進性も回転性もとても良く、漕ぎ慣れると少ない力で自由自在にカヤックが滑るように進んでくれるとても楽しいカヤックです。

勿論普通のダウンリバーにも使えますのでスラローム競技に参加しない人でもスラローム艇に乗っているパドラーは結構います。

デメリットは、カーボン製なので岩に激しくぶつけたりすると破損しやすいことと、価格が高いこと。円安等の影響により最近値段が高騰しており、新艇は現在40万円以上します。高級なロードバイクに比べれば全然安いので、お金に余裕があってレースにも挑戦したい方にはとても楽しい相棒になるでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=Fnh35L9sqxE&t=163s

⑥パックラフト

ここ数年とても流行っているカヤックです。岩にぶつかっても穴が開かない特殊なビニールのような素材で出来ているので、重さはわずかに3kg程度とびっくりするぐらい軽いです。組み立ても簡単で、空気を抜けばコンパクトになるので持ち運びも便利と良いことずくめですね。

幅が広いので安定感も良く、初心者でも気軽にホワイトウォーターでダウンリバーを楽しむことも可能です。但し、この気軽さがパックラフトの1番の欠点とも言えますので注意が必要です。あまり練習しなくてもホワイトウォーターをとりあえず漕げてしまうので、いざ転覆した時に対処できずに流されたり、危険な目にあうことも結構多いようです。昨年も多摩川でパックラフト初心者の70代の男性の死亡事故が発生しています。ホワイトウォータカヤックよりは最初のハードルは低いので自己流で漕ぐことも出来なくはないですが、スクールに通って安全に漕ぐ方法をしっかり学びながら漕ぐことをお勧めします。

⑦ダッキー(インフレータブルカヤック)

ラフティングボートと同じ素材で出来ているとても丈夫な空気で膨らませるカヤックです。岩に強く当たって破損しても直ぐに空気が抜けないようなしっかりした構造になっています。似たような形のカヤックがネット等で1~2万円で販売されているのを見かけますが、安いものは穴が開きやすく、穴が開くと簡単に空気が抜けてしまいますので、ダウンリバーには使用しないで下さい。湖などでのんびり漕ぐには問題ありません。

ホワイトウォーターで漕げるダッキーは20万円程度します。素材もしっかりしているので、空気ものですが重さも2人乗り用で20kg程度あり結構重いです。

ダッキーの最大のメリットは安定感です。一人乗りもありますが2人乗りのダッキーが多く、ペアで楽しめるのもいいですね。ホワイトウォーターを漕ぐことが前提の乗り物ですので、結構な急流でも漕げます。

リバーカヤックの種類についてかなり詳しく説明させて頂きましたが、まだまだ言い足りないことが山ほどあります。リバーカヤックに興味がある方は是非1度白丸湖カヤック体験にご参加下さい。リバーカヤックについて詳しくご説明いたします。

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