御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

水と友達になることがカヤック上達の第一歩

スポーツの得意な若者が初めてカヤックに乗ると思いのほか苦戦するケースがままあります。

普段スポーツをしていない女性のほうがスムースに漕げるたりすると男性はますます焦ってカヤックは暴れるばかりで全然思う方向に進まなくなってしまう。

なんじゃこりゃ!!

私も初めてカヤックに乗った時はそんな感じでした。
陸上で行うスポーツと水上を漕ぐカヤックにはどんな違いがあるのでしょうか?

初心者がカヤックを動かすために使える道具はパドルだけです。このパドルが水をしっかりと掴んでいないと、どんなに力を入れても力がカヤックに伝わらずにカヤックは思い通りに進まないのです。

ここで、水の性質をちょっと勉強しましょう。

まず、水は液体、言い換えれば流体です。形状を自由に変化させられる物質です。空気も流体ですが、空気に比べて水は密度が高いので、押すと抵抗がかなりあります。

そして粘性(粘り気)があります。

漕ぐ時はパドルのブレード(櫂の部分)を力を加える方向に対して直角にして漕ぎます。
そうすると水の抵抗が大きくなり、加えた力の反力でカヤックが前に進むのです。水を掴んだところを基点としてカヤックと身体が引き寄せられる感じです。

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ブレードの面が力を加える方向に対して斜め方向だと多くの水を逃がしてしまい、力を入れてもあまり前に進みません。
ブレードの面が力を加える方向と平行だと、水は左右にすべて逃げてしまい、むやみに全く抵抗がないので力を加えるとバランスを崩してしまいます。
水を掴んで漕いだ時、水の抵抗が支えとなってぐらぐらしたカヤックが安心感のある乗り物になるのです。

最後にもう一言。

ブレードは全部水の中に入れてから漕ぎます。半分しか水の中に入っていないと抵抗が少なくサッと漕げてしまいます。
そうすると漕いだパドルの後ろには一瞬穴が開いてしまい、その穴に水しぶきをたてながら水が流れ込みます。

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水の粘り気のせいです。

この水しぶきを作るエネルギーのロスはばかになりません。
効率的に漕ぐためにはなるべく水しぶきをたてないよう水をしっかり掴んでから丁寧に漕ぐ必要があります。

そうすれば、カヤックのコントロール性は格段に上がりますし、バランスを崩さなくなるのです。

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