御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

ダウンリバー⑦(ストッパーの突破方法(2))

今回はストッパーを突破する漕ぎ方について説明します。

但し、無駄な労力を使わずに安全に川下りするためには、避けるラインがあるのであればストッパーには入らずに脇を通過すべきだと思います。

私も初心者に毛が生えたぐらいの頃はストッパーに突っ込んでモミモミされるスリルが好きでわざわざストッパーに突っ込んでいましたが。

このブログでは滝落ちに近い落差の激しい落ち込みのストッパーは対象としていません。

本格的なクリーク下りや滝落ちの場合は異なるスキルや留意点があります。

通過するラインを考える

難易度の高いストッパーを通過せざるを得ない場合は事前にスカウティングをしましょう。

ストッパーを作る岩の形状の影響でタンが出来ている場合は流れがスムーズで下流部の巻き返しが少ないタン上を通過すべきでしょう。

タンがない場合でも一番巻き返しが弱そうな場所通過するライン取りをしましょう。

助走でスピードをつける

ストッパーを突破すると決めたら後は躊躇せずしっかり助走して加速します。

ストッパーで減速させられる力よりも助走で付けたカヤックが進む力が強ければストッパーは無事通過できるのです。

バウを下げてストッパーに突っ込む方法

比較的落差が少ないけれども強めの補足力のあるストッパーを通過する時に使います。

①しっかりと助走します。

突破力は助走のスピードの大きく左右されます。

②バウがストッパーに掛かる直前で落ち込みの斜面を踏み切ります。

自転車を漕いで歩道に乗り上げようとする時、乗り上げる瞬間に力強くペダルを踏むのと一緒の理屈です。

③バウがストッパーに刺さった後、浮力で浮き上がってくるタイミングでしっかり前傾します。

カヤックの前に荷重を掛けることによりバウが浮き上がって後傾することを防ぎます。

④踏み切った反対の手を思いっきり前に伸ばしてアウトウォッシュにブレードを刺します。

アウトウォッシュの流れをしっかり掴んで、アウトウォッシュの力でカヤックをストッパーから出します。

怖がって後傾するのはNG

ストッパーを怖がって漕ぐのを止めて後傾して入るとバウがストッパー当たった瞬間にバランスを崩してなすすべもなく沈してしまいます。

リーンしながら突破する

ちょっと高等技術ですがストッパーを突破する際リーンして水の抵抗を受ける面積を減らすテクニックがあります。

但し、リーンした方にバランスを崩すと却って沈しやすくなってしまうので、アスリートのような強い体幹が要求される技です。

バウを上げてストッパーの上に着地する方法

比較的落差の大きな落ち込みのストッパーを通過する時に使います。クリーク下りをするカヤッカーがよく使う技でブーフと呼ばれています。

抵抗なくストッパーを通過出来るとともに、バウが落ちる勢いで川底にぶつかったり突き刺さってしまうのを防げます。

①事前にしっかりと助走をつけます。

②踏み切りパドルを漕ぐ方向にバウを少し振り向けます。

踏み切りパドルを勢いよく漕ぐとカヤックは逆方向に回転しながら進むため、事前に反対方向へ振っておきます。

③落ち込みに掛かる瞬間パドルで斜面をしっかり掴んだら漕ぐ側の腿を胸に押し付けるように持ち上げます。

後傾してバウを上げるのではなく、腸腰筋の力でバウを身体に引き寄せます。

④ストッパーの上に水平に着地させ直ぐ漕いで加速します。

スラローマーもストッパーで減速させないためによくこの技を使いますが、クリークを下るのに必須の技ですので、ブーフをしっかり身に付けたい方はクリーク下りをメインに教えているカヤックスクールで習うと良いでしょう。

ダウンリバー全10回

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