御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

ダウンリバー⑩(岩を避ける)

本流の強い流れの真ん中に大きな岩があり、流れが岩に激突していることが多々あります。

岩が水面下ギリギリの位置にある場合、気が付かずに漕ぎ進めると隠れ岩に乗り上げてバランスを崩すことがあります。

今回は急流の本流上にある障害物を避ける方法と、避けきれなかった場合の対処方法について説明します。

①本流の強い流れに大きな岩がある場合

早く気付いて早く対処すればするほど避けるのも楽です。

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障害物までの距離があれば、4時半、7時半ぐらいの角度を作って2~3パドル漕げば岩を回避できるラインに移動出来るでしょう。

岩までの距離が短ければフェリーグライドして避ける必要があります。フェリーアングルを作るまで回す間にどんどん岩に接近することを計算に入れてやっぱり早めに対処しましょう。

それでも岩を避けきれないと判断した場合はどうすべきか。

クッションウェーブにカヤックを這わせる

目の前に迫ってきた岩には強い流れの当たる場所にクッションウェーブ(ピローウェーブ)が出来ているはずです。

真っ直ぐ岩に突っ込むとさすがに岩に激突しますが、横向きに岩に接近するとカヤックのサイドがクッションウェーブに当たって直接岩には激突しません。

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恐がらすにクッションウェーブに少し身体を寄せるようにして暫く待ちましょう。

岩を怖がって避けようとするとクッションウェーブに乗り上げて必ず上流側に沈します。

前傾して重い頭の位置を下げるとバランスを崩しづらくなります。

クッションウェーブにカヤックが当たる瞬間に岩の前もしくは後ろに進む力が少しでもあるとクッションウェーブの手前の流れに乗ってカヤックが滑ります。

左右どちらにも進む力がないと真横の向きのままで岩に張り付くように止まってしまうことがありますので注意してください。

後ろ向きに進む流れに乗った場合も前傾して岩のほうに身体を少し寄せて我慢していると転ばないで後ろ向きに進み岩から逃れられる可能性が高くなります。

②本流の真ん中に隠れ岩がある場合

隠れ岩の影響で下流側に返し波の白波が立っています。どのぐらいの波が立っているとどの程度下に隠れ岩があるかは沢山経験して学んで下さい。

避けるべきと判断した場合は早く対処すればするほどラインを大きく変更しなくてもスムースに避けられます。

気付くのが遅れて避けきれない場合はあえて12時キープでスピードを上げて少し強引に隠れ岩を乗り越えてしまうほうが沈しないでしょう。

無理に避けようとしてスィープしてスピードが落ちたところで岩に横向きに当たるとバランスを崩してしまいます。

もう避けきれないと判断した場合は大きく前傾しながら岩の方に身体を寄せて上流側に転ばない準備をします。

隠れ岩にカヤックがはまって停止してしまった場合は、前後どちらに動いたら脱出できそうか判断して転ばぬように注意しながらカヤックをパドルもしくは手でずらします。

スラローム艇は隠れ岩で艇を破損することが多いので特に注意して早めに避けて下さい。

ダウンリバー全10回

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