御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

フェリーグライド②

今回はエディーから流れにストリームインする際のコツを説明します。

川幅一杯流れがほぼ一定の速さで流れている川であれば、ストリームインさえ集中すれば後は目指す角度をキープして優しく漕げばカヤックは勝手に対岸へ滑ってしまいます。そう、ストリームインの時のパドルの漕ぐ強さとタイミングで勝負が決まるのです。

川の流れの速さと自分の漕力から判断して10時ぐらいの角度をキープすればほぼ真横に向かってフェリーグライドが出来ると予測したとします。

フェリーグライドの練習

では、早速フェリーグライド開始しましょう。

エディーが広く助走するスペースがあるのであれば、ある程度スピードをつけてエディーラインをイメージ通りの角度で突破します。

DSCN3927

バウが流れに入ると流れで押されて回転し始めます。

助走で横方向へ進む力がついているとバウは進みながら円運動し始めます。

この回り始めを感じながら下流方向を力強くフォワードストロークで漕ぎます。下流を漕げばカヤックは進みながらゆっくり上流方向へ回転する力が加わります。

このふたつの力を合わせてカヤックを最初にイメージした10時の角度のままでスーッと伸ばすのです。

このひと漕ぎでカヤックのスターンまで流れに入り、なおかつ自分のイメージした10時の角度がキープ出来たらストリームインは完成です。

暫くして、ゆっくりとカヤックが9時方向に回り始めたら下流から漕ぎ始め、12時方向に回り始めたら上流方向から漕ぎ始めましょう。

この踏み切りのパドルでスターンまでカヤックを流れに出すというイメージが実はとても重要なのです。

最近の短いプレイボートはスターンも短いのであまり意識しなくてもスターンが出てしまいますが、スラローム艇等自分の身体の1.5m以上後ろまでスターンが延びている長いカヤックではスターンがエディーに残ってバウだけまた回されてしまうということがよく起こり、ストリームイン失敗の原因になるのです。

アドバイス

ここで踏み切りの下流フォワードストロークの漕ぎ方を一言アドバイス。

パドルは立てて出来るだけ前方から水を掴んで漕ぎましょう。

前方から横まで漕いでスターンが出たなって感じたところで漕ぐのを止める。

まだ回転が止まらないなと思ったら少し後ろまで漕ぐ。

慣れてくると回転を感じながら漕ぐ力強さとどこまで漕ぐかをほぼ無意識のうちに調整することが出来るようになります。

下流踏み切りのパドルをサッと漕いでしまう人が多いのですが、水をしっかり掴んでじわっと漕ぐ感じになればストリームインの失敗は大幅に減ると思います。

力が弱い時

力の弱い女性はひと漕ぎでスターンまで流れに出す強い踏み切りが漕げないなと思ったら、踏み切りのパドルのタイミングを少し遅くすればよいのです。

つまり、流れにバウが入って回され始める瞬間に下流をひと漕ぎ、その後すかさず2漕ぎ目を下流フォワードストロークするのです。

「下流をちょん、ぐいっ」っと踏み切ると良いのです。

流れがとても強い川をフェリーグライドする時も、スターンまで出る前にバウが一気に回されて下流側に落とされないようにこの技をよく使います。

バウからスターンまで想定した角度で流れに入れることが出来れば、あとはどんなに流れが強かろうが正確にフォワードストロークが漕げれば一定の角度がキープ出来るので滑るように対岸へ進むはずです。

フェリーグライド 全6回

フェリーグライドのカヤック体験・スクール

カヤック体験は、初めての方でも安心湖での初心者向けカヤック体験です。

カヤックを「もっと上手に漕げるようになりたい」方にお勧めの、カヤックスクール
流れのある川を安全に漕げる様になるためのダウンリバーコース
スラローム技術を習得するための初級スラロームコースがあります。

カヤック技術編 』カテゴリの最新記事

番外編 体幹の捻りで漕ぐ(2)

今回はフォワードストロークを漕ぐ時の体幹の捻りについて説明します。体幹に捻りで漕ぐ(1)でも述べたように、フォワードストロークを漕ぐ時は漕...

番外編 体幹の捻りで漕ぐ(1)

「カヤックは手だけで漕ぐのではなく体幹の捻りを使って漕がなくちゃ」ってよく言われますね。体幹のありとあらゆる筋肉を駆使して漕げれば手の筋肉...

ダウンリバー⑩(岩を避ける)

本流の強い流れの真ん中に大きな岩があり、流れが岩に激突していることが多々あります。岩が水面下ギリギリの位置にある場合、気が付かずに漕ぎ進め...

ダウンリバー⑨(流れと流れの合流地点)

本流に支流の川が合流する場所や、岩によって一度分けられた流れが再び合流する場所はとても不安定なエリアが暫く続きます。強い流れ(本流)に対し...

ダウンリバー⑧(シュートの漕ぎ方)

今回はシュートの漕ぎ方について説明します。①シュートは何故出来る?川幅の広いところから急激に川幅が狭くなると左右から川の中心に向かう流れ...

ダウンリバー⑦(ストッパーの突破方法(2))

今回はストッパーを突破する漕ぎ方について説明します。但し、無駄な労力を使わずに安全に川下りするためには、避けるラインがあるのであればストッ...

ダウンリバー⑥(ストッパーの突破方法(1))

今回はストッパー(ホール)について説明します。フェリーグライドでは御嶽渓谷程度の川幅のある川をダウンリバーすることを前提としてカヤック技術...

ダウンリバー⑤(ウェーブの漕ぎ方)

ダウンリバー⑤(ウェーブの漕ぎ方)今回はウェーブ(立ち波)の突破方法について説明します。ウェーブと一概に言ってもその大きさや形状は様々な...