御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

フェリーグライド③

今回はフェリーグライド中のリーン(カヤックの傾け)について説明致します。

フェリーグライドを教える時、通常カヤックを下流側に少しリーンするよう教えます。

それはそれで正しい教え方なのですがフェリーグライド時に必ずリーンしなくてはいけないのかと言えば、答えはその時によるが正しいのではないでしょうか。

フェリーグライド時にリーンすべき理由

フェリーグライド時にリーンすべき理由は主に2つあると思います。

その1は、上流の流れがカヤックのデッキの上から乗っかって上流側へひっくり返るのを防ぐこと。

その2は、上流からの流れをカヤックに逃がしながら当てることにより、流れの力を弱めること。(下図を参照してください)

DSCN3926

その1はうねりの少ない静かな流れでは必ずしもやる必要はありません。

その2は流れの力を逃がしてしまうので、弱い流れをフェリーグライドする時は却ってフェリーグライドがし辛くなります。

そう、リーンは流れの状況に応じて行うべきなのです。

一番よくないのは、上流を漕ぐ時はリーンが解けて、下流を漕ぐ時は大きくリーンしてカヤックがぐらぐらと揺れることです。

水が当たって、逃がして、当たっての繰り返しになると水の流れの力の矢印が延びたり縮んだりして、カヤックが安定して横滑りしなくなります。

カヤック技術編「カヤックを傾ける(リーン)①」で説明した通り、体幹を使ってカヤックを傾けるよう心がけましょう。

ここがポイント

フェリーグライド時のリーンは後に説明するストリーム時のリーンとはほんの少し異なります。

カヤックは真直ぐ進んでいるので遠心力の影響がないため、重い頭がカヤックと身体を合わせた物体の重心の鉛直線上に残るよう意識して下さい。(下図を参照してください)

DSCN3925

気を付けて!

リーンを使ってフェリーグライドする際は、ストリームアウト時にバウがエディーにかかる少し前にリーンを解いて下さい。

下流側にリーンしたままストリームアウトするとバウがエディーに掴まってスターンはまだ流れの中にいる影響で上流側へ回転が始まります。

その際に回転の外側に頭が降られて下流側へ沈してしまいます。

リーンを上流側へ切り替えて遠心力に対抗する必要があるのです。

次回はフェリーグライドの練習の仕方について説明致します。

フェリーグライド 全6回

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