御岳ひぐらし日記

フェリーグライドインストラクターの工藤が、カヤックのこと、ツーリングのこと、御岳渓谷の日々の出来事、奥多摩の観光情報などを綴ります。

フェリーグライド⑤

今回は流速差のある川を横切るフェリーグライドについて説明します。

上流域もしくは中流域の自然の中を流れる川は大概蛇行しています。

流れの速い本流とその脇の遅い流れ、岩や隠れ岩の下流も流れが遮られて流速が遅い流れが出来ます。

一定の速さの単純な流れはほとんどないと言っても良いでしょう。

ポイント

流速差のある流れをフェリーグライドする際、カヤックのバウとスターンに当たる流れの流速差によりカヤックは回転運動を始めます

流れがより速い本流にバウが掛かると下流に向かって回転し始めます。

逆に隠れ岩の下流など流れの遅いところにバウが掛かるとバウが捕まってスターンのみ流されるので上流方向へ回転し始めます。

流速差のある川を横切る場合は先々の流れを読んで、バウが上流側に回されるタイミングで上流側、バウが下流に落とされるタイミングで下流側を漕いで回転を未然に防げばよいのです。

流れの強弱で勝手に回るカヤックに対して反対側に入れるパドルは強めに漕ぐことが出来るので、タイミングが合えばひと漕ぎでカヤックを加速させる有効なパドルなるのです。タイミングが合わないと思わぬ方向へ加速してしまいますが。

この回転と反対側を漕ぐタイミングを習得するのが意外に難しいです。

回転を感じてから漕ぐのでは全く遅すぎます。

流速差にもよりますがバウが流速に異なる流れに入る少し前に漕ぎ始めるぐらいのタイミング(かなり早めのタイミング)を意識すると、すんなりとフェリーアングルがキープできます。

遠くの様子も見るとともに直前の流れまで見なくてはいけないなんて大変ですね。

でもエキスパートカヤッカーはほぼ無意識に流れを見ながら一瞬のうちに判断して漕いでいるようです。

リーンにも注意して!!

なお、漕ぐタイミングとともにリーンにも注意を払うとよりスムーズなフェリーグライドが可能になります。

流れの遅い所ではフラットに、流れの速い所ではリーンを大きめにして漕ぐのです。

カヤックは回転を上手に制御できるようになると無駄な力を入れずに行きたいところへスイスイと進むようになるのです。

次回はウェーブを使ったフェリーグライドについて説明致します。

フェリーグライド 全6回

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